
「年末は株価が上がりやすかったけど、年が明けたらどうなるんだろう?」
年末ラリーの勢いが落ち着くと、そんな疑問がふと頭をよぎりませんか。
新年のお祝いムードに包まれる1月は、「ご祝儀相場」とも呼ばれ、投資家の期待が高まる特別な月です。
実はこの「1月の相場」、ただの雰囲気だけでなく、過去の経験則に基づいた「アノマリー(経験則)」が存在します。
ただし、そのアノマリーを信じすぎるのは少し危険かもしれません。
この記事では、1月アノマリーの仕組みや意味、投資に活かすための注意点をわかりやすく紹介します。
この記事を読めば、1月相場の特徴を理解し、新年の投資戦略を立てるためのヒントが得られるでしょう。
【記事のポイント】
- 1月の株価に見られる2つの不思議な傾向
- なぜ1月に株価が変動しやすいのか、その4つの理由
- アノマリーを投資に活かす際の注意点と正しい向き合い方
そもそも「1月アノマリー」とは?

「アノマリー」とは、はっきりとした理由は説明できないけれど、なぜかそうなりやすいという経験則のことです。
株式市場では、長年の観察から生まれた独特の傾向として知られています。
1月の株式市場には、昔から知られている代表的なアノマリーが2つあります。
ここでは、その基本となる2つの傾向を見ていきましょう。
【このセクションのポイント】
- 1月効果: 1月は他の月と比べて株価が上がりやすい傾向のこと。
- 1月バロメーター: 1月の株価の動きが、その年1年間の株価を占うという考え方。
1月は他の月より株価が上昇しやすい「1月効果」
1月アノマリーの中でも特に有名なのが「1月効果(January Effect)」です。
これは、1月の株価リターンが他の月よりも高くなりやすい傾向があるというものです。
特に、企業規模が小さい「小型株」でこの現象が強く現れると言われています。
新しい年のスタートに合わせて市場が活気づく様子が、この「1月効果」という言葉からも感じられますね。
1月の相場がその年の株価を占う「1月バロメーター」
もう一つは、「1月バロメーター」と呼ばれるものです。
これは、「1月に株価が上がると、その年も株価が上昇しやすい」という経験則を指します。
いわば、その年の株式市場を占う“投資の天気予報”のようなものです。
多くの投資家が、1月の相場の動きを手がかりに年間の投資戦略を立てています。

1月の成績がその年を占う!
新しい一年の始まりに、気持ちが引き締まります。
なぜ起こる?1月に株価が変動しやすい4つの要因

では、なぜ1月は特に株価が動きやすいのでしょうか。
その背景には、投資家の心理や税金の仕組みなど、いくつもの要素が関係しています。
ここからは、1月アノマリーを生み出すと考えられている4つの主な要因を順に見ていきましょう。
【このセクションのポイント】
- 新年効果: 新しい年への期待感が投資意欲を高める。
- タックスロス取引: 年末の節税目的の売りが、年明けの買い戻しに繋がる。
- ウィンドウドレッシング効果: 機関投資家が決算の見栄えを良くするための売買。
- 小型株効果: 特定の時期に小型株へ資金が流入しやすくなる。
新年への期待感が高まる「新年効果」
年末年始が終わると、多くの人が「今年こそ資産を増やしたい」と意欲を高めます。
こうした前向きな気持ちや新しい目標への期待が、買いの動きを後押しします。
これが「新年効果」と呼ばれる現象です。
さらに、冬のボーナスを投資に回す個人投資家が増えることも、相場を押し上げる一因とされています。
年末の節税対策の反動「タックスロス取引」
年末になると、多くの投資家が節税目的で損失の出ている株を一度売却します。
この動きを「タックスロス取引(損益通算)」と呼びます。
こうして年末に売られた株が、新年の1月に再び買い戻されるため、株価が上昇しやすくなるのです。

税金の仕組みが、年明けの株価に影響するなんて面白いですね。
知っておくと役立つ知識です!
税金対策も重要ですが、利益が非課税になるNISA制度の活用がおすすめです。
マネックス証券のNISA口座を見てみる運用報告書の見栄えを良くする「ウィンドウドレッシング効果」
投資信託などを運用するプロの投資家(機関投資家)は、年末の決算期に報告書の印象を良く見せようとすることがあります。
これを「ウィンドウドレッシング効果」と呼びます。
具体的には、成績の悪い銘柄を一時的に売り、好調な銘柄の比率を増やします。
その後、年が明けた1月に売却した銘柄を買い戻す動きが出ることがあり、これが株価の上昇要因になると考えられています。
機関投資家の影響を受けやすい「小型株効果」
小型株は、ふだん機関投資家があまり積極的に取引しない分野です。
しかし、1月になると個人投資家の資金が流れ込み、さらに機関投資家も新しい投資先を探し始めます。
その結果、小型株に買いが集まりやすくなります。
少ない資金でも株価が大きく動きやすいため、1月効果が特に強く表れやすいと考えられています。
1月アノマリーはもう古い?投資に活用する際の注意点

ここまで、1月アノマリーの興味深い傾向を紹介してきました。
しかし、この経験則をそのまま信じて投資をすることには注意が必要です。
近年では「アノマリーの効果が弱まっている」という意見も増えています。
ここでは、アノマリーと上手に向き合うために意識しておきたい3つの注意点を紹介します。
【このセクションのポイント】
- 過去のデータは、未来の値動きを保証するものではない。
- 「1月が上昇=年間も上昇」という相関関係は、実はそれほど高くない。
- アノマリーだけでなく、経済全体の状況を見て判断することが大切。
過去のデータが未来を保証するわけではない

過去の統計を見ると、1月に株価が上昇した年は多く見られます。
ただし、それはあくまで「そうなりやすかった」という話です。
過去のデータは、未来を100%保証してくれるものではないのです。
たとえば、2000年以降の日経平均株価では、1月に上昇した年は半分より少し多いくらいで、確率としては約55%ほどです。
この数値は、必ず株価が上がると断言できるほど強い根拠ではありません。
過去のデータはあくまで参考材料であり、未来を確実に予測するものではないことを忘れないようにしましょう。

過去のデータでは、上がりやすいという程度にとどまりそうですね。
1月と年間の株価の相関性は高くない
「1月バロメーター」は魅力的な考え方に見えますが、実際のデータを見ると少し厳しい現実が見えてきます。
2000年以降では、1月の株価の動き(上昇または下落)と、その年1年間の株価の動きが一致したのは21年間で9回、約43%にとどまっています。
つまり、半分にも満たない確率です。
「1月が上がったから、今年も安心」と考えるのは早計かもしれません。
短期的な傾向に頼りすぎず、年間を通した視点で相場を見つめることが大切です。

感覚的にはもっと連動している気がしていましたが、データで見ると意外と関係ないんですね。
思い込みは禁物です!
1月だけでなく、他の月のアノマリーも知って投資戦略の引き出しを増やしましょう。
アノマリー以外の経済全体の動きも重要
最も重要なのは、アノマリーを「ひとつの参考情報」として捉えることです。
株価の動きには、経済指標や企業業績、世界情勢など、さまざまな要因が影響しています。
アノマリーだけを頼りに投資判断をするのは危険です。
市場全体の流れを広い視野でとらえることが、安定した投資成果につながるでしょう。
信頼できる情報収集には、ツールや情報コンテンツが充実した証券会社が役立ちます。
1月効果でロケットスタート!新年の株式市場はどう動く?【1月アノマリー解説】 まとめ

今回は、新年の投資戦略を考えるときに知っておきたい「1月アノマリー」について解説しました。
1月アノマリーの基本を理解しておくと、相場を見る視点が広がるでしょう。
この記事の重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 1月アノマリーとは: 1月の株価には「他の月より上がりやすい(1月効果)」、「その年の相場を占う(1月バロメーター)」という2つの経験則がある。
- 主な要因: 新年への期待感や、年末の税金対策の反動など、複数の要因が重なって起こると考えられている。
- 投資の注意点: 近年はアノマリーの効果が薄れている可能性も。過去のデータは未来を保証するものではなく、あくまで参考情報の一つとして捉えることが重要。
「1月だから買う」といった短期的な判断ではなく、アノマリーは投資判断を後押ししてくれるお守りのようなものと考えてみてください。
しっかりと自分で調べ、考えたうえで、最後の一押しとして活用すると良いでしょう。
この記事が、新年の投資を前向きに始める力になれば幸いです。



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